Dr.T:・・・ああ、またこの男は・・・。
助手:な、なんです?そのイヤな反応は?まさかこの科学的にも身体に良いことが証明されているマイナスイオンが駄目だって言うんじゃないでしょうね?
Dr.T:ついに恐れていたことが起こったようだな・・・。はっきり言おう。君はだまされている!
助手:えええええええ〜!?て、テレビやラジオでもその効果が実証されて、大手メーカーからもこぞって発売されているマイナスイオン機器がインチキだって言うんですかぁ?それはドクター、あまりにもあまりですよ?
Dr.T:・・・す、救いようがないかもな・・・(泣)
助手:あ、やっぱりご自分の軽率な発言に悲しくなったようですね。いいですよ、聞かなかったことにしてあげますから♪
Dr.T:あきれとるんだ!まったく君は科学と言うものをまったく理解しとらんようだな!?
助手:え?ま、まさかマイナスイオンが身体に悪いっていうんじゃないでしょうね!?
Dr.T:・・・マイナスイオン化している物質によるだろう?
助手:まいなすいおん化しているぶっしつ?だってこれはマイナスイオンが出ているんですよ?
Dr.T:中学校から理科をやりなおしてこーーーーーい!イオンがなんだか知らんのか!?
助手:じゃ、ジャスコの親会社・・・。
Dr.T:それはイオンはイオンでもAEONだ。本来のイオンは英語表記では ion だ!
助手:え、そーなんですか?
Dr.T:もともとはギリシャ(ラテン)語で「旅するもの」という意味だ。その名の通り、さまざまな要因によってその性質を大きく変化させる。というよりは変化した性質をあらわすことが多い。
助手:というと?
Dr.T:もともと物質は何から出来ている?
助手:バカにしないで下さい!原子から出来ているに決まっているじゃありませんか!
Dr.T:ほぅーーーー?ではその原子とは何かね?
助手:素粒子の一種で、マイナスの電荷をもった電子が原子核の周りを衛星のように回っています。
Dr.T:根本で間違っているがな。まぁいい。で、なぜ電子は回っている?
助手:なぜって・・・回りたいから?
Dr.T:いいところまでいったがなぁ・・・。電子がマイナスの電荷を持つならば、原子核がプラスの電荷をもっているからこそ、電子はつかず離れず原子核の周りをまわっているのではないかね?
助手:・・・あ、そうか、そういうことか!原子核はプラスの電荷を持つんですね!?
Dr.T:持ってないがな。
助手:はいーーーーー????
Dr.T:調べて見ると原子核はいくつかの陽子と中性子によって構成されていることが分かった。それが素粒子だ。陽子はその名の通りプラスの電荷を持ち、中性子は電気的にはプラスでもマイナスでもない中性だ。
助手;は、はいはいそうです。陽子の数によって原子の名前が決まり、それがいわゆる元素と呼ばれているものです!
Dr.T:まったく言葉でしか知識を知らんとこれだから・・・。
助手:つまり陽子がプラス、電子がマイナスなんでしょ?電子のことを陰子と呼んだりもしたことがあったみたいだし。
Dr.T:そこまでわかってて、なぜマイナスイオンにダマされるかなぁ・・・。
助手:は?
Dr.T:イオンとは何かね?
助手:やだなぁ、イオンってのは電気的バランスが崩れた状態を言うんですよ。電子が多いとマイナスになるんでマイナスイオン(負のイオン)、陽子が多いとプラスイオン(正のイオン)になります。
Dr.T:・・・それでなぜマイナスイオンが身体に良いことになるんだ?
助手:もう、ドクター、ちょっとは勉強してくださいよ。電子は陽子や中性子と比べて1800倍も軽いんですよ?そんな軽い電子は常に失われ易いんです。そのため物質は常に微弱ではありますがプラスに傾いているんですよ、電気的には。だから、マイナスイオンはプラスに偏った物質を中和して、血液の流れを良くしたり、脳の働きを活性化させたりするんですよ!
Dr.T:・・・何のマイナスイオンなんだ?
助手:そんなに声をひそめなくったってちゃんと教えてあげますよぉ、(笑)現在は水とか空気とかのマイナスイオンが主流です。
Dr.T:(ギリギリギリギリ…)…マイナスイオンなら身体に良いのか?
助手:・・・説明聞いてなかったんですか?だからぁ・・・、
Dr.T:ウランやプルトニウムのマイナスイオンでも身体に良いんだなーーー!?
助手:ほ、放射性物質じゃないですか、そんなもの持ち出さないで下さいよ!?
Dr.T:今の説明だとそういうことになるだろうが!?
助手:だから、水とか人体に不足しがちな元素のマイナスイオンをですね・・・?
Dr.T:では人体に必須な亜鉛のマイナスイオンを発生するものがなぜない?
助手:え?あ、亜鉛?そんな金属、身体にいいわけ・・・。
Dr.T:亜鉛が不足すると人体には味覚障害が起こったりする。もちろん鉄分だって貧血治療のためには必須だぞ!?
助手:そ、それらは化学化合物だから身体に良くない・・・。
Dr.T:鉄は元素だー!Fe!元素!
助手:うっ・・・(汗)
Dr.T:いいか?マイナスイオンが身体にいい、という根拠は薄いのだ!
助手:で、でも、マイナスイオン式の空気清浄機とかたくさんあって、マイナスイオンが埃に吸い付いて下に落としてくれるから清浄効果が抜群って書いてありましたよ?マイナスイオンドライヤーなんか髪がしっとりするって話だし?それに実際プラスイオンのハウスダストとならマイナスイオンが引き合うじゃありませんか。マイナスイオンがでたらめだなんて・・・・。
Dr.T:・・・こうも見事にひっかかると、もう感動すら覚えるよ・・・(泣)。いいかね?ここに3年前から開けてない押入れがある。そら!
助手:ひ、ひぃぃぃ!お、押入れの奥から埃が!チリが!ダニの死骸が!ハウスダストが〜!
Dr.T:で、この霧吹きをシュッシュッ・・・と
助手:あ・・・、おさまった・・・?
Dr.T:ある程度水分があれば埃は吸着できる。本当は超音波加湿器のほうが細かい蒸気を出せるのだが、この程度でも埃の吸着には充分だ。
助手:ど、どういうことです?
Dr.T:見てのとおりだ。埃の吸着なぞただの水で充分!昔は掃除のときにお茶ガラをまいたのだぞ?
助手:お、お茶ガラ・・・?
Dr.T:お茶ガラをまいてから箒で掃除すると埃が立たない。生活の知恵だな。
助手:で、でもマイナスイオンドライヤーは?
Dr.T:髪がしっとりするなどという主観的な感覚は科学的な観測事項ではない。髪にどれだけの水分量があれば「しっとり」するのか、それがどれほど続けば「長持ち」なのか、基礎研究や資料も無しに「マイナスイオンが出ているから髪がしっとりする」なんて言うのは「お守りを持っているから受験に合格する」という程度の信仰ともいえる感覚だ!
助手:そ、そんな!?だってオゾンだって出ているですよ!?
Dr.T:語るに落ちたな・・・。オゾンが出てなぜ身体にいい?
助手:え?え?な、なんで?オゾンは森林浴でさわやかになるもとでしょう?紫外線から守ってくれているのもオゾンじゃないですか!!??
Dr.T:その通りだ。
助手:それがなんで身体に良くないんです?
Dr.T:良薬も過ぎれば毒となる。※1労働安全基準で言えば0.1ppmより多いオゾン濃度の場合、無人で作業すること、となっているのだぞ?しかもオゾンは最近の健康好きの言葉で言えば「活性酸素」だ。
助手:ええ?そ、そうなんですか〜?あの老化やガンのもとになるという「活性酸素」!
Dr.T:しかもオゾンがマイナスイオン状態で存在すればその強力な酸化力でさまざまなものと結合し他の物質に変えてしまう。ドライヤーから出ているオゾンがマイナスイオン状態なら・・・。
助手:よ、より身体に良くないかもしれない・・・ってことですか?
Dr.T:オゾンは微量(0.01〜0.05ppm)なら気分をさわやかにしてくれる。だからといって、マイナスイオンの効果!とうたっているものが実はオゾンの効果ではとんだ羊頭狗肉ではないか?またマイナスイオンは多ければ多いほど良いとされているが、オゾンは多くてはいかん。もし発生しているマイナスイオンがマイナスイオン化されたオゾンなら身体に良いと言って良いものか・・・。
助手:ひ、ひぃぃぃぃ!
Dr.T:それにマイナスイオンは高い電圧とか激しい水圧などそういうエネルギーによって生成されるものだ。家電製品ならいざ知らず君の買ったようなボールペンにそのような電力を消費する機能はあるのかね?
助手:あ、ありません・・・。ショボ〜ン。マイナスイオンはインチキなんですね・・・。
Dr.T:すくなくとも繊維やシート、ボールペン、ブレスレットといったエネルギーを消費しないでマイナスイオンを出す、といった商品にかんしてはほぼ効果は期待できないな。
助手:くぅぅぅ・・・(泣)
Dr.T:また、家電製品でマイナスイオンを出すものにしても、それが何のマイナスイオンを出しているかが問題だ。オゾンではお薦めしかねるしな。
助手:でも・・・・、マイナスイオンは・・・・、効くっ・・・・・て・・・・・アレルギーが・・・治ったって・・・・(泣)
Dr.T:いわゆるハウスダストはダニの死骸とかカビの胞子などだ。そんな埃は人によっては※2アレルゲンだから、加湿作用で埃が吸着されればアレルギーがおさまるのはありうるぞ。
助手:え?そ、それじゃあ?
Dr.T:ま、ふつーの超音波加湿器で充分だし、それ以上に部屋の掃除と換気をこまめに行なったほうがよいだろうがな。
助手:えー・・・やっぱり・・・。
Dr.T:人間の身体は複雑な組成の物質とメカニズムの集合体だ。それらがお互いに働きあい絶妙なバランスを保っている。何か一つ欠けてもそのバランスは失われてしまう。だからその欠けたものを補う、という考え方ならいいが、特定のものだけが万病に効く、というのはその前提段階で疑って見なければならない。もちろん科学だけでは説明のつかないものは山のようにあるがな。
助手:は、はかせ・・・。
Dr.T:くよくよするな。マイナスイオンボールペンだって筆記具としては使用できるだろう?たいした金額でもあるまい。ふつーのボールペンとして使えばいいのだよ。
助手:・・・・・・・・。
Dr.T:???
助手:いやそれが・・・その・・・マイナスイオンのエアコンとかは高価くて買えないので、その、コレを大量に買ってその替わりにしようかと思って・・・その・・・・。
Dr.T:げ!だ、段ボール2個ぶん!?ボールペンに埋まって生活するつもりだったのか?!とっとと返品してこーい!!
助手:は、はーい!
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多少の臭気を覚える(やがて慣れる) |
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3〜6時間暴露で視覚が低下する |
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明らかに上部気道に刺激を感じる |
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2時間暴露で頭痛、胸部通、上部気道の渇きとせきが起こり繰り返すと慢性中毒にかかる |
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脈拍増加、体通、麻酔症状が現れ、暴露が続けば肺水腫を招く |
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小動物は2時間以内に死亡する |
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人間は1時間で生命が危険となる |
※2 アレルギーのもと。卵やそばが有名だが最近では米などもアレルゲンとされている。何がアレルギーを起こしているのかを見極めるのは大変である。